SOAP OPERA(1975)

1.EVERYBODY'S A STAR (STARMAKER)
2.ORDINARY PEOPLE
3.RUSH HOUR BLUES
4.NINE TO FIVE
5.WHEN WORK IS OVER
6.HAVE ANOTHER DRINK
7.UNDERNEATH THE NEON SIGN
8.HOLIDAY ROMANCE
9.YOU MAKE IT ALL WORTHWHILE
10.DUCKS ON THE WALL
11.(A) FACE IN THE CROWD
12.YOU CAN'T STOP THE MUSIC
 「ロック・オペラの鬼」キンクスが、またもやテレビ局からの依頼を受けて制作した、テレビ・ドラマのサントラ・アルバム。
 キンクスには珍しく、都会的なアプローチがなされた作品で、僕は結構好きなのだけれど、世間的な評価は相変わらず低いようである。

 お話はどうやら平凡なサラリーマンが、スターメイカー(?)によってスターとしての人生を仮想体験する、というものらしいのだけれど、サラリーマンの単なる妄想物語という解釈も一部にあって、実際なんだか良くは分からない。
 意識して聴けばバラード・ナンバーの「NINE TO FIVE」「UNDERNEATH THE NEON SIGN」「FACE IN THE CROWD」あたりに、サラリーマン生活の悲哀であるとか、見果てぬ夢への渇望と絶望のようなものを感じて、胸を締め付けられるような気にもなる。
 軽快なオープニング曲や、ドナルド・ダックのテーマ・ソングみたいなハード・ブギーの「DUCKS ON THE WALL」も面白い。

 テレビ番組のサントラであることの胡散くささであるとか、当時のプロモーションの不味さゆえなのか、当時も今もほとんど話題になることのない本作である。
 しかし、このアルバムを、発表から30年以上経った現在の耳で改めて聴くと、確かに売れるための決定的な要素には欠けるかもしれないけれど、例えば同時期に発表されたストーンズの「イッツ・オンリー・ロックンロール(IT'S ONLY ROCK'N'ROLL)」であるとか、フーの「バイ・ナンバーズ(THE WHO BY NUMBERS)」などと比べても決して見劣りのするものではない。
 1990年代以降、日本においても盛んにキンクス再評価の動きがあったけれども、いずれもキンキー・サウンド時代や80年代に入ってからのライブ・バンドとしての力量について触れたものばかりであって、RCA時代を推す声は最後まで聞けずじまいであった。
 結局のところレイ・デイヴィスという偉大なる才能への正当な評価は、未だにロック史の中に埋もれたままであると言わざるを得ない。

 ところで、スピルヴァーグの「ET」の公開と本作の発表というのは、一体どちらが先だったのだろう。
PRESERVATION ACT2 SCHOOLBOYS IN DISGRACE